特定技能外国人を雇用するには社会保険の加入が必須!手続きや届け出方法を徹底解説!

在留資格「特定技能」の新設によって、スキルを持った外国人を雇用できるようになり、企業は人手不足解消につなげられるようになりました。しかし、特定技能外国人を雇用する場合は日本人と同様に、社会保険加入が必須です。

ただし、社会保険には雇用保険や厚生年金も含まれているため、日本に永住しない可能性が高い外国人に必要なのか疑問に思う方も多いでしょう。当記事では特定技能外国人における社会保険について解説します。

罰則がある!特定技能外国人を社会保険に加入させよう

一定条件下にある法人や個人事業主などの企業は社会保険加入が義務付けられています。特定技能外国人を始めとする外国人労働者であっても、日本人と同様に社会保険加入対象です。

そのため、社会保険に加入していない場合は労働基準法違反となり、行政処分などの重罰が科せられます。以前から外国人の公的保険利用が問題視されてきました。

特に、近年は外国人労働者数が増加していることもあり、保険料未納や不適切利用、保険未加入によるケガや病気時の負担問題などは深刻化しつつあるのが現状です。

国会でも取り上げられているほどで、保険料が遅延したり、未納が続いたりしている悪質な事業主には在留更新を認めないと法務大臣も明言をしています。

特定技能外国人を社会保険に加入させ、安心して働ける環境を整備するのは事業主の責務です。

外国人労働者も年金を支払う必要がある?

「強制適用事業所」とは、厚生年金保険への加入義務のある事業所のことです。外国人老翁者が強制適用事業所に雇用されている場合、国籍関係なく厚生年金保険に加入する被保険者となります。そのため、外国人労働者であっても年金を支払わなければなりません。

社会保障協定を結んでいる国の外国人労働者とは?

前述のとおり、外国人が日本で働く場合は日本の社会保障制度への加入は必須です。ただし、母国で社会保障制度に加入している場合、母国と日本で二重の保険料負担が発生する可能性があります。

日本の厚生年金を受け取るには、年金保険料を一定期間にわたって収める必要があります。しかし、日本に永住しない場合は保険料が掛け捨てとなってしまうケースも多いです。これらの問題を解決するために生まれた対策が以下の2つです。

  • 社会保障協定の発効
  • 脱退一時金の払い戻し

それぞれの対策について詳しくみていきましょう。

社会保障協定の発効

社会保障規定とは、外国の社会保障制度と連携することで、保険料の二重加入防止を目的に設けられた多国間での取り決めです。協定を発効している国は次のとおりです。

  • アメリカ
  • イギリス
  • 韓国
  • 中国
  • オーストラリア
  • フランス
  • ドイツ
  • インド
  • ブラジル
  • オランダ
  • ベルギー

2022年6月時点で上記を含む23カ国と協定を証明し、22カ国で協定発効しています。ただし、イギリスや韓国、イタリア、中国は保険料の二重負担防止のみの合意です。年金加入期間の通算に係る規定は含まれていないため、注意しましょう。

参考:社会保障協定|日本年金機構

脱退一時金の払い戻し

脱退一時金とは、年金保険料を支払っていた外国人が帰国した場合に払い戻される年金保険料のことです。日本に住所を有しなくなった日から通算2年以内に払い込んだ年金保険料額に応じた保険料の払い戻し請求が行えます。

ただし、脱退一時金の払い戻し請求をする外国人本人が申請を行わなければなりません。また、払い戻された保険料は帰国後に支給されるものの、未申請で2年以上経過すると掛け捨てとなります。

そのため、外国人労働者から「年金をもらう年齢になる前に帰国する予定だから厚生年金を支払いたくない」という申し出があった場合は、脱退一時金制度を紹介してみてください。

雇入れから離職までが事業主の責務である

特定技能外国人の雇用管理はすべて事業主の責務です。過去には低賃金で長時間労働を強いる企業が行政処分を受けるなど、技能実習制度を悪用した労働基準法違反が多発しています。

外国人労働者の人権問題にも発展したことで、特定技能ビザの新設時には労働環境の見直しなどをはじめ多くの制限が設けられたほどです。いずれの在留資格であっても、外国人聾者は貴重な人財であり、公的徴用されている人夫ではありません。

雇入れから離職までの管理業務は事業主である責務ということを自覚したうえで、外国人労働者を雇用する必要があります。

まとめ

社会保険加入が義務付けられている企業の場合、国籍問わず社会保険対象です。そのため、特定技能外国人であっても社会保険に加入させなければなりません。

未加入の場合は労働基準法違反となり、罰金を含む重罰に科せられます。また、保険料の未納や遅延が続き、悪質な事業者と判断されると、在留更新されない事態にもなりかねません。

雇入れから離職に至るまで外国人の雇用管理は事業主の責務であることを理解し、日本人従業員と同様に守り抜くという意識を持って外国人労働者を雇用することが大切です。

こ記事の著者

編集長 岩本信一(福岡県出身

福岡県飯塚市出身、1969年5月14日生まれの53歳。現在は、株式会社グローバルヒューマニー・テック(https://gh-tec.co.jp/)会長。一般財団法人CHIKYUJIN留学生支援機構(https://chikyujin.or.jp/)創業者理事。一般社団法人障がい者自立推進機構(https://paralymart.or.jp/association/)顧問。